万年筆の話

万年筆キャップレス マットブラック【F】 FC18SRBMF

普段私はローラーボール(水性ボールペン)を使っているので、万年筆を買う必要性というか理由は全く無かったのだが、まあ誕生日だし、ちょっとくらい散財してもいいかということで買ってみた。しかも一挙に2本買いました。馬鹿にも程がある。

今までにも万年筆を手に入れたことはあったが、だいたい人からもらったとか、雑誌の付録だったとかで、自分から意識的に買ったことはない。ノックすればペン先がすぐ出るボールペンに体が慣れきっていることもあり、わざわざキャップをねじって外さなければならない万年筆は面倒で、すぐ使わなくなる。しかも多くの万年筆は、しばらく使わないとすぐインクが乾いて書けなくなってしまう。ようするに、水性ボールペンに勝る点が何一つ無いのである。

さらに、私の好みからすると万年筆の大多数はデザインがどうもおっさん臭いというか、今一つ垢抜けない。まあ私はもうおっさんだから別におっさん臭い物を持っても構わないのだが、わざわざ高い金を出して趣味に合わないものを買うのは馬鹿げている。昔ならモンブランやら何やら高い万年筆を持つというのがステイタスだったのだろうが、今はアメリカの大統領でも250円のボールペンを使う時代だ

ということで、実用性の追求というよりは、それなりの値段がする万年筆とはいかなるものなのかという単なる興味で買ってみたのだが、2本とも当たりだった。

プラチナ 万年筆 #3776 センチュリー NICE PUR「ニース ピュール」細字(F)

一つはプラチナ万年筆の#3776 センチュリー ニース ピュールである。#3776というのは、モッチーこと梅田望夫氏の父である作家の故・梅田晴夫氏が監修したモデルなんだそうで、それ自体としては極めてオーソドックスな万年筆だ。このバージョンが変わっているのは軸が半透明だということで、私はスケルトンものというか、中身が透けて見えるのが好きなのだが、これもその一つ。

先にも書いたように、万年筆はしばらく使わないとあっという間にインクが乾いて使えなくなるのだが、最近のプラチナの万年筆にはスリップシール機構というのが備わっていて、キャップが完全気密なので2年間放っておいても使えるというのを売りにしている。私のような、そんなに年がら年じゅう万年筆を使うわけではない人間にとっては非常にありがたい機能で、偉大な発明である。といっても本当に2年保つかは知らないが、とりあえず1ヶ月くらい放っておいても大丈夫なのは確かめた。私が今まで使ったことがある万年筆は、そもそも超がつく安物だからということもあるが、ちゃんとキャップをしていても2週間保たなかったと思う。ニブ(ペン先)はFの細字を買ったのだが、若干カリカリという感じの軽い書き味で、こちらも好ましい。

ただ、この#3776 ニース ピュールも結局キャップをきちんとねじって留めるタイプなので(気密だから当たり前)、面倒なのは変わらない。個人的にヒットというか、万年筆に対するイメージを変えたのは、もう一つ買ったパイロットのキャップレス万年筆のほうである。

キャップがない、ノック式の万年筆というのが存在するというのは知っていたのだが、なんだか無理があるというか、安手のギミックのような気がして最近まであまり興味がなかった。ただ、実際に店頭で試し書きしてみると、さすがに曲がりなりにも50年以上の歴史がある製品だけあって、これがなかなかのものだったのである。ノックするとペン先が出てくるのだが、ちゃんと中にシャッターがあってペン先が乾かないようになっているとか、普通のペンとは逆にペン先のほうにクリップが付いているので、胸ポケットに刺すとペン先が上を向き、インク漏れが起こらないようになっているとか、随所に工夫が凝らされている。

こちらもニブはFを買ったが、書き味はなめらかで、水性ボールペンを使い慣れた人間にとっては何ら違和感がない。私は字を書くスピードが割と早いほうだと思うのだが、ペン先が紙に触った瞬間にインクが流れ出るという感じで、ちゃんと追従してくれる。インクはパイロットのブルーブラックのカートリッジを使っているが、乾燥も早く、すれやにじみも少ない。万年筆は毛細管現象を利用しているので、上向き筆記も問題ない。ということで、実は万年筆は高速のメモ取りに最適なのだった。

といっても、キャップレスの通常モデルは妙にピカピカしていて色もいまいちで、見た目が魅力的とは(少なくとも私にとっては)言い難い。ところが、キャップレス マットブラックというバージョンだけは全てつや消しの黒で統一されていて、なかなか精悍でかっこいいデザインなのである。写真だとちょっとぼってりしているように見えるが、実物はさらにスマートだ。万年筆らしからぬというと変だが、これならギークが持っていてもおかしくない。おすすめである。

といいつつ、実は私自身はマットブラックを買わなかった。というか、買う気満々だったのだが、店頭でキャップレス 絣というのを見つけてしまい、それがとても美しい柄だったので、散々迷ったあげくこちらに飛びついてしまったのである。日本では絣と名付けられているが、海外ではカーボン風(カーボネスク)として展開されているようで、いずれにせよ基本的にはもう廃版らしい。店頭在庫のみのようなので、欲しい人はお早めに。

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