加圧式ボールペンの話

Hipster PDAに限らず、メモを取るには筆記用具も重要だ。私個人としてはとにかく(昔の)油性ボールペンが嫌いで、油性ではありがちなことなのだが書き出しでインクがかすれて出ないことがあると、ものすごく腹が立つ。ムカっとした瞬間に何を書こうとしていたか忘れてしまうことすらある。

そういう意味で一番良いのは鉛筆ないしシャープペンシルで、私も家ではプラチナのプレスマンを愛用しているのだが、胸ポケットに紙をむき出しで入れるHipster PDAなりジョッターなりの場合、どうしても書いた字がこすれて汚れてしまったり、ぼやけて読めなくなってしまうことがある。私のように、どちらかと言えば2B以上の柔らかい芯を好む人間の場合は特にそうだ。あと、鉛筆はいちいち削るのが面倒くさい。

ぺんてる ボールPentel 水性ボールペン 0.6mm 黒 [1本] B100-AD

そんなわけで、今までは主にボールPentelという、書き味は超素晴らしいのだがデザインがびっくりするくらいダサい水性ボールペンを使っていたのだが、Hipster PDAの名付け親であるマーリン・マン氏がフィッシャー社のスペースペン推していたので、ちょっと興味を持ったのである。

スペースペンに関しては、私も名前だけは知っていた。ボールペンは重力がないと上のインクリフィルから下のボールまでインクが落ちてこないので、無重力の宇宙空間では使えない(らしい)。そこでNASAは巨費を投じ、リフィルに窒素ガスを封入して加圧することでインクを強制的に押し出すというスペースペンを開発した。一方、ソ連は鉛筆を使った…というアレだ。実際はほとんど都市伝説というか間違いで、snopes.orgの記事によるとNASAは自前で開発しようとしたのだが金がかかりすぎて断念、鉛筆(というかシャープペンシル)を使っていたのだが、フィッシャー社が全く独立に開発してNASAに売り込み、それを導入したというのが事実のようだ。実のところ、ソ連も間もなくスペースペンに乗り換えている。

それはともかく、構造上基本的にボールペンは下向きで書くべきものなのですね。別に無重力でなくとも、上向きで重力に逆らって書くためにはインクを大気圧以上に加圧して押し出す必要がある。そうしないとそのうち空気が入ってインクが逆流し出なくなってしまうわけだ。実は私は結構寝床でメモを書くことがあるのだが、今までそんなこととは全く知らずに、仰向けになって普通のボールペンで書いていました…。立ってメモを取るときは、上向きとまではいかなくても地面に対して水平くらいの角度で筆記することはよくあるが、これもペンによってはあまり良くないらしい。

Fisher スペースペン ブレット EF400

そんなわけで以前Smithへフィッシャー・スペースペンの実物を見に行ったのだが、本体もリフィルも高いし、デザイン的に一番優れていると思うブレットのEF400というのにはクリップが無く、クリップ付きのものはなんだかバランスが悪く、もう少し普通のボールペンらしい風体のものはクリップがスペースシャトルの形をしているとか、星条旗があしらわれているとかいう案配で、土産物としてはいいが日常使いにはややハードルが高いように思われた。

トンボ鉛筆 加圧式油性ボールペン エアプレス BC-AP12 フルブラック

加圧式のボールペンは今となっては別にフィッシャーの専売特許ではなくて、日本のメーカーからも遙かに安価なものがいくつか出ている。三菱のパワータンクトンボのエアプレスが有名のようで、試しにどちらも買ってみたが、インク自体はジェットストリーム以前の普通の油性インクなので特筆すべきところはないものの、少なくとも書き出しでかすれることが全くないのには感心した。パワータンクは専用の加圧済みリフィルが必要なのに対し、エアプレスはノック時に圧縮空気をリフィルに送り込んで加圧するタイプで基本的には普通のリフィルなのだが、エアプレス本体が短いのでリフィルも短い専用のものを使う必要がある。パワータンクはいかにも事務用品という感じだが、エアプレスの特にフルブラックというモデルは、黒を基調に差し色として赤が入っていて、なかなか精悍なデザインで気に入っている。

パイロット ダウンフォース BDW-40F-B

パワータンクもエアプレスもいいけれど、普通の長さのリフィルが使えるのはないかなと思ったら、同じことを考えた人がメーカーにもいたようで、パイロットが出していた。ダウンフォースという名前で、エアプレス同様ノックでリフィルを加圧するタイプだが、普通の長さのリフィルが使える。デザインは今一つどんくさいが、ウェブサイトはなかなか気合が入っている。メーカー推奨ではないものの、パイロットが出している低粘度油性インク、アクロインキのリフィル(BVRF-8EF)も使えるので、さらになめらかな筆記が楽しめるのもメリットだ。胸ポケット等に刺してクリップが開いているときにはノックが自動的に解除される機構が備わっているので、いつの間にかペン先が出ていてシャツに前衛絵画が描かれているということもない。ここしばらくはこれを使っていた。

なぜ使ってい「た」と過去形なのかというと、実は誕生日のプレゼント(もちろん自分に)として万年筆を買って、最近ではこちらを使うことが多いからである。この話はまた後日。

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